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瓜連まちの風土記 第20巻

瓜連まちの風土記 第20巻

らぽーると瓜連小学校

 

【ルピナス文庫】
人と本、人と人を結ぶ
みんなの博物館

 みて、聞いて、遊んで、人とつながる本と
 出あうことで、あしたへの夢の扉をひらく
20表紙
◆誰もが、あしたへつながる夢のヒントを探せる一冊の本と出あうための活動をしてみたい。
◆その志に共感する人が結集し、読み聞かせとブックスタートのプロジェクトがスタートした。
◆あしたをつくるふるさとの子どもを育むお母さんたちの思いと情熱にふれながら、図書館とはちがうスタイルで、かつてみんなが
そうしていた五感で楽しむ読書を思い出すことができる。

「ルピナス文庫・・えほんのひろば」
と小さくかかれた看板がある一軒の民家が
あります。どこにでもある平凡な家なので、
よほど注意して探さないと見落としてしまいます。
小さな玄関をくぐり部屋の扉を開くと、大きな
円卓にならべられたなつかしい絵本たちが
出迎えてくれます。
20-03

いま会の代表をされている外山さんに、
「ルピナス」という名前の由来を尋ねてみました。
バーバラ・クーニーという人の「ルピナスさん」
という絵本を由来にしているとのことです。
「ルピナスさん」という絵本は、小さなおばあさん
が世界中を旅行して、ルピナスの花の種をまいて
みんなを幸せにするお話です。
20-05

いまから20年前の1994年です。
その当時子育てに奮戦していた女性たちが
「旅をしながらルピナスの種を植え世の中を
ルピナスの花で美しくする」
そんなステキな物語に出あいました。
そして、彼女たちは瓜連のまち中にお話の
種まきをしたいという志を持ち、「読み聞かせ」の
研究会がはじまりました。
20-07

研究会を重ねていくと、人と人の和がどんどん
結びつきます。そこでは、参加する人の経験も
蓄積していきます。そうして、小さな活動が
軌道にのっていきました。
現在外山さんたちは、瓜連小学区や幼稚園、
保育園に出向いて、隔週で「読み聞かせ」を
したり、自分で企画したりして、瓜連のまちに
お話の種をまいています。
20-09

2014年に、空き家になった会のメンバーの
一軒家を改装し、自分たちが選書した絵本を
展示し、自由なスタイルで活動ができる文庫が
完成しました。ここで、メンバーの女性たちによる
自由で楽しい「お話の会」が開かれています。
20-11

私は、第二・第四水曜日の11時からスタートする
「お話の会」を訪ねてみました。
会に参加しているお母さんたちとルピナス文庫に
やってきた三歳児までの子どもと母親、祖父母
が、「絵本」や「お話」をきっかけに、子育ての
ノウハウや家で読んであげる本などを楽しそうに
相談しあっています。

話がはずみ、場が和んでくると、
それだけでは終わりません。
おいしいモノや近所づきあいなど話の輪は
次々にひろまっていきます。
そして、いつのまにか私たちも加わっていました。

私は、絵本やまちのお話をきっかけに本と人、
人と人が結びついていく楽しさは、学校や図書館
では体験できないステキなよろこびがあることを
心の底から実感することができた気がしました。
20-15

いま、私たちの社会は、電子化が進み
スマートフォンやパソコンなどで本が読める
時代になっています。また、最近は小学生の
うちからスマートフォンを所持し、それを使い
こなしている子どももいます。
20-17

それに加え、動画を使ってのコミュニケーション
が増えたため、幼児もアニメ化された絵本を
とおして、「お話」にふれるようになりました。

そのため紙に文字や絵が書かれている本に
ふれる機会は少なくなっています。ましてそれを
身近な人に実際に声をだして読んでもらう
機会はますます少なくなっています。
20-19

紙に文字や絵を書いて綴じられた本には、
webにはできない、手ざわりやにおい、重さ、
温度といったぬくもりがあります。ページを
めくりながら、想像するわくわく感を育む間は、
けっしてタブレットでは体験できません。
20-21

紙でできた絵本には、心にのこる目に見えない
チカラがあります。
私たちは電子機器を使うことで、たくさんの情報と
出あうことができます。
それはそれで素晴らしい体験です。
しかし、絵本と出あい、それにふれること、絵本を
きっかけにして、人とつながる活動は、電子機器
ではけっして体験できないし、子供の成長には
欠かせない要素だと思います。
20-23

「ルピナス文庫」に来てみて下さい。
ここには、時を超えて、世代を結び、読み継がれ
てきた定番の絵本がたくさんあります。あなたが
家族の人に読んでもらった、家族のために
読んであげたいたくさんの絵本に出あうことが
できます。想像力がとぎすまされて子どものころ
の記憶を思い出すことができます。
20-25

「ルピナス文庫」では、絵本をきっかけに、人と
出あうこともできます。
ここに、子どもを連れて行けば、一緒に遊ぶ
友だちと出あわせることもできます。
お菓子を食べながら、おしゃべりすることも
できます。

ここは人と本を結ぶみんなの博物館です。
図書館とは少し違うスタイルで読書を楽しんで
みませんか。きっとここでは本を読む、
本と出あう、人と出あう楽しさや喜びが
味わえると思います。

 

20-28
瓜連おはなしの会ルピナス
代表:外山 ヒサ

 

 2015年3月20日 発行
著 者 :鯉沼 伶奈(常磐大学コミュニティ文化学科)
写 真 :森作 勇哉(常磐大学コミュニティ文化学科)
デザイン :宗形 朱梨(常磐大学コミュニティ文化学科)
監 修 :塚原 正彦 常磐大学教授
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