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瓜連まちの風土記 第43巻

瓜連まちの風土記 第43巻

人とシゴト

 

【夢AKARI】
手づくりのあかりで幸せを
ともす博物館活動

 まちを彩る小さなあかりが、ふるさとで
 生きているよろこびに気づかせてくれる
43表紙
◆まっくらにおおいつくされた夜を照らす小さなあかりは、私たちに忘れていた宝物を思い出させてくれる。
◆みんなで持ちよった手づくりの小さなあかりで、失われていくふるさとに光をあてようとした志が、あかりをテーマに人と人を結ぶプロジェクトに発展してきた。
◆一人ひとりの手づくりのあかりに出あうとき、誰もがふるさとのなつかしさを思い出す。

桜が咲く季節になると、那珂市静にある
「静峰ふるさと公園」で「八重桜まつり」
が開催される。
桜が散ると、人は公園に来なくなってしまうし、
夜桜の美しさが知られていなかった頃は、
夜に公園を訪れる人が少なかった。
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この公園にたくさんの人に来てもらおう。
そして人と人を結びつける何かをしてみよう。
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そういう志を持った有志が集まって、
公園をろうそくのあかりで灯す
活動がはじまった。
その活動が継続するようになり、
「夢AKARI」というNPO法人による
ボランティアに発展していった。
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瓜連商工会を中心に、
同じ志を持った地域住民が集まり、
みんなでできるコトから活動が
スタートした。
 

2004年の7月に、静峰ふるさと公園で
「夕涼みの会」を企画した。
園内の道沿いに、会員たちの手づくりの
キャンドルや灯籠(とうろう)を並べて、
光の道を造作した。
 

発足当時の夢AKARIのメンバーは
10人ほどしかいなかった。園内の数百メートル
にも及ぶ道にそって、それを一つずつ並べる
作業は、試行錯誤であったから
大変な手間と時間がかかった。
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公園をあかりで飾る活動を継続的に続けて
いくうちに、メンバーにもノウハウが蓄積して
きた。そうなってくると、参加してくれる人も
増えはじめ、規模も次第に大きくなっていった。
そして、来場者を巻き込んだ参加型の
イベントが企画できるようになった。
 

現在「夢AKARI」は、瓜連小学校にでかけて
いき、子どもたちに、夢や願いのメッセージを
書き入れた灯籠づくりのワークショップを
実施している。
 

公園や地域の催し物でワークショップを
実施する際には、これまで開催した
ワークショップの参加者、子どもたちと
その親などにスタッフとして参加して
もらいながら、みんなで共同作業を行って
ふるさとの人々の輪がひろがるように
こころがけている。
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みんなでつくりあげていく参加型の
プロジェクトは、人々にやりがいを感じ
させるから、終わったあとも、記憶に残り、
ノウハウも蓄積していく。
そしてリピーターも増えていく。
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会をたちあげた谷島さんが語ってくれた。
「夢AKARI」の活動に参加することで、
コミュニティが生まれ、町が元気になる。
地元がもっと好きになる。たくさんの人が
そう思ってくれるようなきっかけづくりに
なればそれでいいのです。
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皆をほっこりさせてくれる癒しのあかりを
灯すプロジェクトは、もはや那珂市内だけに
とどまっていない。
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お隣の常陸大宮市の常陸大宮駅のロータリー
や駅前通りを灯し、また東日本大震災が
起きた後、茨城県三の丸庁舎前広場で毎年
3月11日に追悼の意を込めて行われる
「キャンドルナイト」であかりを灯しに遠征
している。
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静峰ふるさと公園の有効利用を目的として
始まった活動は、茨城県内でたくさんの
感動を生むものとなった。ほのぼのと
心温まるあかりは、誰でもにっこりして
しまうもの。それと同時に人それぞれに
思いや願いを持つように教えられている
ような不思議な力を感じる。
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これからも、多くの人の力で灯された
小さなあかりたちは、皆の希望を
明るく灯し続けていくことだろう。
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特定非営利活動法人 夢AKARI
 代表:谷島 貞男
 事務局:那珂市商工会
      〒311-0105 茨城県那珂市菅谷4404-7

 

 2015年3月20日 発行
著 者 :畑岡 祐花(常磐大学コミュニティ文化学科)
写 真 :森作 勇哉(常磐大学コミュニティ文化学科)
デザイン :宗形 朱梨(常磐大学コミュニティ文化学科)
監 修 :塚原 正彦 常磐大学教授
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