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額田まちの風土記 第18巻

額田まちの風土記 第18巻

河内屋酒店

 

ふるさとを見守るお酒屋さん 額田18-表

額田城や多くの寺や神社がある
額田地域。
自然が多く、空気のすんだ風景と
住民の生活風景が
どこかなつかしく感じる。

額田18-3

額田の北に
ひっそりとたたずんでいるのは、
河内屋酒店である。
大きな看板が印象的である。

額田18-5

周辺にとけこんだ外装、
外にならんだアイスケース、
自販機を雨から守っている屋根、
それらがリンクして、
なぜかあたたかさを感じる。

額田18-7

河内屋酒店の看板は、
いまではあまり
見かけることがなくなった縦長で、
なんと3つも建てられている。
そのうちの1つは向かい側にあり、
茶色くさびついていた。

額田18-9

開業した頃、
向かい側でお店を営んでいたらしく、
そのままそこに置いていたら年季の
入った看板になってしまったという。
そんな昔の話をしてくれたのは、
河内屋酒店で働いている沼澤さん。

額田18-11

お店に入ると、
お酒屋さんならではの香りが
鼻にはいってきた。
お酒屋さんなのに、
商品棚の半分以上は
生活用品や食料品が占めている。

額田18-13

わざわざ遠出をしなくても
近所のおじいちゃん、
おばあちゃんが
お茶会のついでに寄って、
商品を買っていくそうだ。

額田18-15

河内屋酒店では、
額田という地名にちなんだ
お酒を販売している。
「額田城」「額田藩」「万姫」
「市十郎」という額田オリジナルの
日本酒が4種類ある。
額田への愛をカタチにしたのだろう。

額田18-17

河内屋酒店の血筋をたどっていくと、
徳川家康の養女である万姫の夫、
市十郎の血筋にたどりつく。
そういう歴史があるから、
額田への愛情は誰にも負けていない。

額田18-19

河内屋酒店は、
明治40年頃に創業された。
昔はご用聞きと配達に
よく行っていたらしい。
常連が年をとって、
なくなったりして、配達することも
なくなってきたらしい。
最近は、常連さんがたまに顔を
出しては、おしゃべりをしていく。
そういうお店になってきたという。

額田18-21

ご主人から
そのような物語を聞いていると
常連さんのおばあちゃんが
やってきた。
私たちを不思議そうに見ていたが、
少しお話をすると、まるで
額田へようこそと言わんばかりに
満面の笑顔を返してくれた。
 

昔からふるさとの人々に
愛されてきた河内屋酒店は、
ふるさとの人々が訪れ、
話のタネがまかれ、
それが花ひらくところである。
お店のお酒の香りに
酔ってしまったのか、
あたたかい雰囲気に
酔ってしまったのか、
私はほろ酔い気分で
お店をあとにした。
 

 

額田18-後 

 2017年2月13日 初版第1刷発行
取 材 :伊関 翔平、沖杉 恒輝
著 者 :伊関 翔平、沖杉 恒輝
写 真 :伊関 翔平、沖杉 恒輝
編 集 :畑岡 祐花
発行者 :日本地域資源学会
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