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額田まちの風土記 第1巻

額田まちの風土記 第1巻

額田城

 

大自然の宝島 額田1-表

オオムラサキ。
それは日本の国蝶で、
紫に白と黄色の水玉模様の
美しい羽を持っている。
天然記念物であり、生息数が少なく、
なかなか見ることができない
貴重な生き物。
そしてそれはお宝。
さあ、自分だけのお宝を探す
冒険に出よう。

額田1-3

ここは、額田城跡。
ここが冒険の舞台。
この額田城は、
11も丸のある
大きな大きなお城だった。
今はもうお城はないけれど、
山のようになっていたり
お堀がのこっていたりと、
お城のおもかげはのこっている。
そして、たくさんのお宝が
ねむっている宝島なのだ。
さあ、階段を下りて中に入ろう。

額田1-5

階段は深い所まで続いている。
さっきまでの住宅街の景色とは一変、
周りは木の幹や竹、
土のかべにかこまれ、
いつも見ている風景とは
まったく別物である。
階段を一段一段下りるたびに
ワクワク感が増す。
木々は一本一本が高く生え、
緑の葉っぱが光に照らされてかがやき、
土はふかふかのベッドのよう。

額田1-7

小さな橋がかかっている。
橋の下にはたくさんの植物が生え、
水は流れていない。
なんだか不思議で面白い橋だ。
橋を渡り、坂を上ると、
ブランコが見える。
木の坂をロープで吊るしただけの
簡単なもの。
このブランコに座って自然の中を
ゆらゆらとゆられれば、
この自然の中を飛ぶ鳥になった気分に
なれるかもしれない。

額田1-9

両わきを丸太で仕切られた道に入る。
この道は
いたる所にきのこが生えている、
きのこの道だ。
きのこは大小さまざまで、
どれも不思議な形をしている。
シイタケのような
食べられそうなきのこもあれば、
赤くて毒のありそうなきのこもある。
両脇の丸太は、
ついその上を渡りたくなる。
両手を広げてバランスをとりながら
丸太の上をすすめば、
まるで綱渡りをしているかのよう。

額田1-11
 
額田1-12
 
額田1-13

広場が見える。道が開けた。
広場にはカラフルな花が咲いている。
そのはずれに、アルミのテーブルと
ちょっと変わったベンチがある。
このベンチは
板とお酒のケースでできている。
きっと地元の人が作ったのだろう。
しかしこのベンチは
花とは反対側を向いている。
不思議に思っていると、
なんだかベンチに座りたくなる。
近づいてみて気づく。
このベンチから見える景色は、
この城あとを高い位置から
見下ろすようになっていて、
美しい自然を一望できるのだ。
そう、ここは、額田の人の特等席。

額田1-15

道なりに進んでいくと、
左右に分かれる分岐点に立つ。
右は、青と紫の紫陽花が交互に生えた
紫陽花の道。
左は、大きな白百合が咲くゆりの道。
さて、どちらに進もうか?

額田1-17

白百合の道を進む。
白百合のそばに、
何か紫色のものが落ちている。
気になって顔を近づければ、
日本のお宝を
はっきり見ることができる。
紫に白と黄色の水玉模様、
オオムラサキだ。
ここに落ちているものは
残念ながらオオムラサキの羽。
しかし、まだオオムラサキは
この城あとにいるかもしれない。
空を飛ぶオオムラサキを
見ることができるかもしれない。

額田1-19

この先にもさまざまなお宝がある。
オレンジに輝く美しい百合の花、
ナスカの地上絵のようなコケ、
どこからかわいてくる水、
プクプクふくらんだ緑色の木の実。
この宝島のお宝は、土にうまった
歴史のあるものばかりではない。
今もかがやく不思議なお宝が
たくさんねむっている。
目には何が写る。
なにが見える。
さあ、冒険に出よう。

額田1-21
 
額田1-22
 
額田1-23

 

 

額田1-後
 2017年2月13日 初版第1刷発行
取 材 :真山 知栄、阿部 未波
著 者 :真山 知栄
写 真 :真山 知栄
編 集 :畑岡 祐花
発行者 :日本地域資源学会
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