額田まちの風土記 第3巻
額田城跡保存会
人がつくったお城のミュージアム |
お城に住んでみたい。 一度でも そう思ったことはないだろうか。 那珂市の額田というまちでは、 そんな夢みたいなことが 実現してしまう。 |
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額田城はいまから760年前、 鎌倉時代の初期に築かれた。 その面積は96万平方メートル、 東京ドームのなんと約20倍である。 現在は自然公園として 遊歩道や花だんが整備され、散策を 楽しめるミュージアムになっている。 |
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額田城あとは、 巨大な森になっている。 かつてこの城に 住んでいた人も見たであろう 樹齢300年とされるヒイラギや サクラ、カシの木をはじめ、 たくさんの木々が訪れる者を歓迎する。 |
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その額田城の城あとは かつては荒れていた。 山林には草が生い茂り、 たくさんのごみが捨てられていた。 そんな城あとを 何とかしようと立ちあがったのが、 額田の人々であった。 |
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彼らは草を刈り、ごみをひろい、 城あとをよみがえらせた。 そして、額田の歴史をもっと 多くの人に知ってもらうために まちの歴史を案内する ガイドをはじめた。 |
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額田城保存会の人々は、 自ら額田の歴史を調べた。 そして誰もが楽しみながら、 額田のまちを散策できるような 散歩コースをつくった。 彼らの熱意は人々の心を動かし、 みんなが額田の歴史を 大切に考えるようになった。 |
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額田城の散策はここちよい。 なぜならば、道にはウッドチップが ふかふかのじゅうたんのように しきつめられ、 水がとおる道には橋が渡され、 整備されているからである。 いまさらいうまでもないが、 かつてゴミ捨て場であった森を ここまで再生したのは 額田城跡保存会に参加している 額田の住民である。 |
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私たちがいまこんなステキな ミュージアムを体験できるのは、 彼らがそれをしてくれたからである。 遊歩道を歩いていると、額田の人々の チカラがひしひしと伝わってくる。 |
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額田のまちを歩いていると、 よく人にあう。 けっして 人口が多いというわけではなく、 過疎になやんでいる小さな町である。 にもかかわらず、額田であう人々は みなよくおしゃべりをしている。 散歩中のおばあさんに 「お元気ですか」と声をかけられた。 誰かと出あって、おしゃべりする。 あたり前のようだが かけがえのないことを すっかり忘れていたのかもしれない。 |
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■額田城とは 額田城跡は、額田台地の南東部に所在する。標高27m。本丸跡は、7~8mの深壕に囲まれた山林で 面積約16,000㎡。さらに二の丸・三の丸壕と土塁まで含めた総面積は約77,000㎡、中世の城跡と して現存していることは、県下でもめずらしい。城館の歴史は、建長年間(1249~1256年)佐竹氏 4代義重の2男義直が築城し、額田氏を称した時からはじまる。10代義亮の時、額田氏は亡ぶ。 その後、義人の家臣小野崎氏が額田城主となり、以降7代照通まで続いたが、天正19年(1591年) 佐竹氏20代義宣に、照通に異心ありとし、攻められ落城、照通は陸奥へ亡命し、以降廃城となった。 |
2017年2月15日 初版第1刷発行 | |
取 材 | :堀内 瑠那、竹内 千聡、福田 莉子 |
著 者 | :堀内 瑠那、竹内 千聡、福田 莉子 |
写 真 | :堀内 瑠那、竹内 千聡、福田 莉子 |
編 集 | :佐藤 里香 |
発行者 | :日本地域資源学会 |