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額田まちの風土記 第5巻

額田まちの風土記 第5巻

額田のまちの景観

 

額田はまちのすべてがミュージアム 額田5-表

暑い日ざしの中、
森に囲まれた駅に降り立った。
青い空と深みどり。
ここから物語ははじまっている。
駅に人はなく、後ろには
木々が茂った山々がそびえていた。

額田5-3

まっすぐ伸びる道路に少しの民家。
人影もまばらだ。
まさに
のどかな田舎という感じであった。

 額田5-5

しばらく歩くと
森への入り口があった。
なんだか冒険の始まりのようで
ワクワクとした気持ちが
胸に浮かんできた。
いままでアスファルトを
踏みしめていた足で森に入る。

額田5-7

入って1番の感想は、涼しい!
足元には土と草。
さっきとはちがって
まるで登山をしている気分である。

額田5-9

まわりを見渡すと緑、緑、
まるで何百年も前の昔にいるような
気持ちになって来た。
昔の人もこんな気持ちで、
この風景を見ていたことを
想像しながら歩いていた。

額田5-11

きっとあなたも吹き抜ける風に
そんな気持ちにさせられるだろう。
足元を見るとキノコや虫がいた。
彼らもこうやって何百年も前から
この土地で生き続けてきたのだろう。
顔を上げると百合の花に様々な木々。
彼らもまた同じだ。

額田5-13

山の中を歩いて行くと
小高い場所にまで来た。
周りの木々から見える風景には
田んぼが混じっていた。
ここに住む人々もこの地で
田んぼや畑を作って生活している。
ただの自然ではない
人と自然が融合した風景に
歴史を感じた。
ずっと人とこの地の自然は
共存共栄しているのだろう。

額田5-15

そんな思いを抱きながら、
さらに森の奥へすすんでいった。
城あとだからお城が今
建っているわけではなかった。
しかし実際に歩いていることで
お城の中にいるような気がしていた。
山の中をさらに歩くと
水が湧き出ている場所があった。
こういうところからも
何百年も前から続く
額田の息吹を感じた。

額田5-17

やがて森を抜けると
また額田のまち中へ出た。
しばらく歩いているとお寺があった。
額田には
神社やお寺がたくさんあった。
昔から地域の人々に
必要とされていたのだろう。
ここにも歴史の残り香を感じた。

額田5-19

そして額田のまちには
お店は少ないものの
人がひっきりなしに入っているお店や
ずっとこの場所で地域の人々に大切に
されてきたのだなと感じる店があった。
人がひっきりなしに訪れるそば屋の
名物は大根そばだった。

額田5-21

これを求めて
遠くから来る人も多いそうだ。
これも額田の魅力の1つだろう。
地域の人だけでなく
その他の人々も訪れる。
額田には
たくさんの魅力が詰まっている。
あなたも是非
この魅力を肌で感じてほしい。
 

そして、1日ずっと額田のまちを
歩いていて気づいたことがあった。
私たちが歩いていた、あの山の中
だけが「お城」なのではなくて、
私たちがいるこのまちすべてが
お城だということだ。
城を中心に
その敷地内にひろがる様々な歴史、
それを私たちは感じていたのだった。
そして額田のまちの人々、
彼らもまたお城の中に何百年も前から
ずっと生きているのだ。
ずっと続いてきた歴史の中のまち、
額田。
人と自然が共存共栄して、
たくさんのお寺や神社がある。
なんて素敵な場所なのだろうか。
ぜひあなたも額田を訪れて
その魅力を感じ取ってほしい。
 

■額田城とは
額田城跡は、額田台地の南東部に所在する。標高27m。本丸跡は、7~8mの深壕に囲まれた山林で
面積約16,000㎡。さらに二の丸・三の丸壕と土塁まで含めた総面積は約77,000㎡、中世の城跡と
して現存していることは、県下でもめずらしい。城館の歴史は、建長年間(1249~1256年)佐竹氏
4代義重の2男義直が築城し、額田氏を称した時からはじまる。10代義亮の時、額田氏は亡ぶ。
その後、義人の家臣小野崎氏が額田城主となり、以降7代照通まで続いたが、天正19年(1591年)
佐竹氏20代義宣に、照通に異心ありとし、攻められ落城、照通は陸奥へ亡命し、以降廃城となった。

 

 

 2017年2月15日 初版第1刷発行
取 材 :福田 莉子、竹内 千聡
著 者 :福田 莉子
写 真 :堀内 瑠那、竹内 千聡、福田 莉子
編 集 :佐藤 里香
発行者 :日本地域資源学会
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