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額田まちの風土記 第8巻

額田まちの風土記 第8巻

額田のまちの風景

 

誇りのタイムカプセル 額田8-表

のどかな時間の流れを感じさせる、
茨城県那珂市の額田地区。
私はここでステキな「宝物」を
発見した。
いつもは見過ごしてしまう
どこにでもある田舎の風景に
きざみこまれた歴史の足あとを
探し出しながら歩いていると
感動がわきあがってくる。
額田のまちを歩いて、
歴史と対話することで、
私が感じたこと、考えたことを
述べてみようと思う。

額田8-3

額田には、歴史がねむっている。
歴史は、額田の土地すべてを
つつみこんでいる。
それは、教科書には書かれていない
小さいけれど、大きな歴史である。

額田8-5

額田城を歩いてみよう。
うっそうとした林の中に、
過去の記憶が
きざみこまれているかもしれない。
うっそうとした林にもかかわらず、
きちんと整備された遊歩道があり、
歩きやすい。
林の中を前に、前にすすんでいくと、

額田8-7

その先の青空を背景に、
草花がさきみだれた
大地がひろがっている。
ここには二の丸のあと
という看板がたっていた。
私がさっきまで歩いてきた道は、
ただの遊歩道ではない。
堀から二の丸まで続いている
歴史の道で、かつて武将たちが
歩いていた道であった。

額田8-9

林をとおりぬけるおだやかな風が、
過去の栄華の残り香を現代に運んで
くれているように感じさせる。

額田8-11

額田でタイムスリップできる場所は、
城あとだけではない。
お寺や神社にも、
額田のまちで生活してきた人々の
記憶がきざみこまれている。
阿弥陀寺というお寺の敷地に
大きなしだれ桜がある。
春にはみごとな花をつけ
ふるさとの人々が、
そのチカラをめでに訪れる。

額田8-13

阿弥陀寺からしばらく歩いてみると
その先に、かやぶき屋根の
鈴木家住宅がある。
江戸の文化と産業をデザインした
総合プロデューサー徳川光圀が
何度も訪れたその場所もまた
大切に守られていた。

額田8-15

歩いてみればわかるのだが、
額田のまちのいたるところに、
鎌倉時代から江戸時代の歴史が、
きざみこまれている。
額田のまちは、過去と現在の記憶が
入り混じり、共存している。
このまちを歩いていると、
何気ない風景の1つひとつが
時間旅行へ誘ってくれる。

額田8-17

額田の通りには、
食堂や洋品店もある。
そば屋、豆ふ屋、肉屋さんもある。
なつかしい風景をただよわせるお店が、
ひっそりたたずんでいる。
よくみるとお店の看板に「額田藩」
という文字がきざみこまれている。

 額田8-19

私は、額田藩という看板に
ふるさとの誇りをみたような気がした。
額田で生きていることは、
彼らにとって1番の誇りである。
その誇りを子孫にのこしていこうとする
気持ちを感じた。

額田8-21

「遺産」、「記憶」、「誇り」。
これらはすべて
額田が生んだ宝物であり、
未来まで継がれなければならない
タイムカプセルである。
過去を風化させないように
何度も何度も書き直しては
伝えなければならない。
額田のまちには、過去の誇りと
未来のかがやきを与え続ける夢のような
誇りのタイムカプセルがある。
それは、今日もまた受け継がれていく。

額田8-23

 

 

 2017年2月13日 初版第1刷発行
取 材 :阿部 未波、吉村 双葉
著 者 :阿部 未波、吉村 双葉
写 真 :阿部 未波、吉村 双葉
編 集 :畑岡 祐花
発行者 :日本地域資源学会
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