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瓜連まちの風土記 第19巻

瓜連まちの風土記 第19巻

らぽーると瓜連小学校

 

【瓜連まんじゅう】
お母さんの物語グッズ

 ふるさとの笑顔をひきだす宝物
19表紙
◆お菓子は、現代のお母さんたちが話の花をさかせるための重要なコミュニケーション装置である。
◆お母さんたちが知恵を持ち寄り、瓜連の年中行事や季節の変化を楽しむことができるように定番の大福やまんじゅうを
瓜連らしくアレンジしたお菓子である。
◆それをひと口いただくと、ふるさとの知恵と思いがいっぱいつまった物語が口いっぱいにひろがる。

瓜連加工所のお母さんたちが作るもうひとつの
名物は、季節の和のお菓子です。
お菓子作りの作業所では、お母さんたちが
温かく迎えてくださいます。
19-03

まんじゅう、大福、団子などどこにでもある
お菓子ですが、瓜連でとれた大地の恵みを
使い、季節の変化を楽しむことができるように、
ふるさとの年中行事を楽しむことができるように、
お母さんたちが心をこめてつくっています。
このお菓子たちを、ふるさとのコミュニケーション
を育む物語として味わってみると、新しい感動を
みつけることができます。
19-05

物語は、お母さんたちが研修で訪れた栃木県の
黒羽町での「黒糖まんじゅう」からはじまりました。
そのおいしさに魅了されたお母さんたちは、
自分たちも瓜連の食材を使って、つくってみよう
と考えました。
冷凍品を販売してもらい、持ち帰って研究して
みました。まんじゅう屋さんにも教えてもらい
ました。
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地元産の小麦を活かし、小豆は北海道産、黒糖
は沖縄と本物にこだわり、試行錯誤しながら、
できあがったのが、瓜連オリジナルの「黒糖
まんじゅう」です。
「黒糖まんじゅう」のおいしさはクチコミで
ひろまり、人々から愛される商品になりました。
19-09

瓜連加工所は、モノをつくって利潤をあげる
食品工場とはちがいます。
それゆえ、マニュアルで管理した大量生産が
できません。大人気の「黒糖まんじゅう」は、
添加物を使っていないため。傷みやすく、
夏場は作れません。
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しかし、それでいいとお母さんたちはいいます。
お母さんたちと話していると、マニュアル化する
ことで、シゴトを楽にしたり、利潤をあげたりする
よりも大切な宝物があることに気づかされます。
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着色料で色づけしない赤飯、米の粉でつくった
粉餅、胃にもたれない玄米餅、古代米を使った
稲荷ずし、シソもち、桜大福などなどお母さん
たちの研究成果のたまものであるレシピ片手に、
モノづくりの楽しさを教えてくれます。
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余計な添加物を使わないで、安全で安心で、
質の良い美味しいお菓子をつくり、みんなに
幸せを届けたい。
お母さんたちは、その情熱を実現するために、
毎日、工夫に工夫を重ね、新しいコトに
挑戦しています。
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お母さんたちが開発した大福は、茨城県知事賞
を受賞しています。その他のお菓子も数々の賞を
受賞しています。その品質が一級品であるのは
まちがいありません。
でもそんなことより、買いに来るお客さんとの
やり取りや仲間たちとの会話が、楽しくて
仕方ないから続けているのです。
19-19

大切なのはコミュニケーションです。
お母さんたちは、お客さんとの会話から、次は
こんなものを作ろうというアイデアがわいてくると
いいます。
瓜連加工所は、人を育み成長させる
イノベーションの場です。それと同時に、
お母さんたちにとってホッとできる場、心の
よりどころになっています。
19-21

自分たちがつくったモノが外へ出て行って
誰かに喜ばれている。
こんなに嬉しいことはありません。
まさにこれこそが、定年なしで、楽しくて
やりがいがあるシゴトです。
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「今、一番若い人は62歳。人手が足りないの」
「あなたも一緒にやってみませんか」
「静峰公園の桜まつりにあわせて、八重桜の
花の塩漬けをあしらったおまんじゅうやおこわを
販売するんです。」
「毎年八重桜が八分咲きの頃に摘み取り、
陰干しにして...」
「桜を五感で楽しむことができるから」

私は、加工所を出る時に気づきました。
皆の靴を、きちんと履きやすいようにそろえて
ありました。
その心づかいに、心がポッと温かくなりました。
ありがとうございました。また来ますね。
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19-28
JA常陸 瓜連加工所
住所:〒319-2102 茨城県那珂市瓜連229-8
電話:029-270-9130
FAX:029-270-9131

 

 2015年3月20日 発行
著 者 :清水 るりこ(日本地域資源学会)
写 真 :森作 勇哉(常磐大学コミュニティ文化学科)
デザイン :宗形 朱梨(常磐大学コミュニティ文化学科)
監 修 :塚原 正彦 常磐大学教授
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