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瓜連まちの風土記 第34巻

瓜連まちの風土記 第34巻

静神社と静駅

 

【静駅の風景】
暮らしの記憶の博物館

 そこに誰もいないのに人々の暮らしぶりが
 みえてくる不思議な駅
34表紙
◆結界のないきれいな無人駅の風景から駅と暮らしが結びついた美の価値に気づくことができる。
◆何もない、誰もいない駅のたたずまいから、それを利用する人々の暮らしのカタチがみえてくる。
◆誰もいない駅で、豊かにゆっくりと流れる時間をともに過ごすことで、新しい幸せのカタチに気づくことができる。

静駅に到着すると
一時間に一本しか通っていないという
電車がちょうど発進するところだった。

特別な不便というわけではないが
はじめてくる土地ということもあり
妙に心にのこった。
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小さな無人駅と聞いていたので
見てみるまでは古くてさびしい雰囲気の
駅を想像していた。
しかし、実際に行ってみると
新しいすっきりとしたところだった。
三角のアーチにドーム型の屋根。
ホームに入ってみると
真っ赤な母屋(もや)が印象的な
若いデザインだ。
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置かれているものは
壁に備え付けのベンチと
自動販売機とゴミ箱のみ。
必要最低限のものしか無いが
利用者がまったくない
さびれた無人駅とは
受ける印象がちがう。
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これもまた瓜連の特徴のひとつであるが
周りに大きな建築物や木はなく
限りなく視界が開けている。
そこに近代的な雰囲気がある
駅舎が加わるから
駅のホームからみえる風景は
もっとステキになる。
 

静駅のホームにたっていると
とても開放的な気分になれる。
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駅の駐車場からホームまで
歩いてわずか数十歩。
その短い距離で
駅としての機能がすべて完結している。
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きわめて質素だが
静駅と周りの風景が
完全に調和しているから
驚きである。
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まちの中にぽつりと立つ静駅は
まるで側に並ぶ家庭と同じ一軒家のようだ。
それが、一日見てまわったこのまちの
素朴で温かみのある風景にとけ込んでいる。
静駅は、あくまでこれが完成形であり
不足している要素はどこにもないと
みんなに語りかけている。
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静駅には、改札という結界がない。
それゆえ、乗客ではない私たちは
いつでも気軽にホームに入ることが出来る。
ステキなデザインに引き寄せられて
瓜連の方から足をのばして
歩いてくる人もいるという。
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私が、いつも利用している駅では
見かけるゴミがまったくといっていいほど
みあたらない。
それはきっとこの駅のそばで
暮らしている生活者が
チカラをあわせて清掃するように
しているあかしである。
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駅と人のかかわりを想像しながら
景色をみてみると
このまちの暮らしのカタチがみえてくる。
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 2015年3月20日 発行
著 者 :楯 佳織(常磐大学コミュニティ文化学科)
写 真 :森作 勇哉(常磐大学コミュニティ文化学科)
監 修 :塚原 正彦 常磐大学教授
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